資産形成

勤務医の投資としての自動販売機ビジネスを自験例を元に考察してみました

勤務医と自動販売機

今や何処でも目にする機会の多い自動販売機(以下自販機)ですが、我々が勤務している病院にも何カ所も設置されていますよね。最近では、ジュースやコーヒーなどの飲料以外にも、パンやスナック、冷凍食品などの自販機が院内に設置されている尿院も少なくないのではないでしょうか。

大学病院時代は当直中、夜中に一段落付いて、どうしてもお腹がすいた時などに、健康には良くないと思いつつも、ついつい冷凍食品の自販機で、油にまみれた焼きそばとフライドポテトをセットで買ってしまっていました。

外勤先では、医局のコーヒーに手を出すのは、なんとなく気が引けて、自販機で一息ついたりすることも多かったです。夏の暑い日などは、外勤が終わって大学に戻る車中で冷たい飲み物を飲むことで気分もリフレッシュできました。

そんな勤務医にとっては一時の安らぎを与えてくれる自販機ですが、一方で、医局前にある自販機などは「職員価格にしてくれてもいいのに・・・」と思っている先生もいるのではないでしょうか。

本記事では、私が管理している自動販売機をマテリアルに、自動販売機の収益性について検討してみます。

私の管理している自動販売機

私が運営している自販機のスペックは以下の通りです。

・飲料メーカー:

  伊藤園

・立地:

  最寄り駅地徒歩10分圏内の

  閑静な住宅街

・設置状況:

  全室1ルームの

  木造2階建てアパート

  エントランス横

・価格帯:110円(ミネラルウォーター)

    ~ 150円(お茶などの500mlペットボトル)

自販機
実際の自販機

自販機周囲の環境としては近くに小さな公園はあるものの、学校や飲食店などはほとんどない住宅地です。アパートはバストイレ別の1ルームタイプで入居されている方は皆さん単身者さんです。残念ながら今は満室ではありません(痛)。

自動販売機で収益を得る仕組み

さて、自販機の収益システムはどのようになっているのでしょうか?また、自販機を運営する上でどの様な手間がかかるのでしょうか?

実は自販機の運営には2通りの方法があります。

1. 自分で自販機を購入して自己管理する方法。

2. 飲料メーカーと契約して管理を委託する方法。

前者の場合、自販機を購入して、飲料の仕入れ、補充、釣り銭管理など全て自分で行うことになります(勤務医には難しいですね)。私の場合は前者なので、今回は飲料メーカーの契約する運営方式についてお話しさせて頂きます。

後者の場合は飲料の補充も、お金の集配や釣り銭の補充、ゴミ箱の管理も全て飲料メーカー任せで、運営者の手間は一切かかりません。これで一定の収益が上がればウハウハですね。

では収益のシステムはというと、運営者が行うこと(コスト)は以下の2点です。

1. 自販機を設置する土地を提供する

2. 自販機の医事に必要な電気料金を支払う

この2点です。1の土地の提供は自分の土地を使用するのでコストはかかりません。設置に伴う工事やコストもメーカー負担です。あとは、お客さんが自販機で飲料を買ってくれるのを祈るのみ。どうでしょうか?儲かりそうな匂いがしてきますか?

それではどの様にして運営者にお金が入るのでしょうか?売り上げの50%?、40%?・・・私の場合は20.37%!です。販売した商品金額の20.37%が販売手数料として振り込まれます。自販機の管理を委託する場合の一般的な販売手数料の相場が手数料20%前後だと言われていますので、伊藤園さんの販売手数料は、若干お得なのかもしれません。

具体例を挙げて、ある月の収支をみてみましょう。

販売本数             104本

販売合計金額(税込み)     12,920円

販売手数料 (私に振り込まれる額 )2,631円(12,920円×0.2037(20.37%)=2,631.8円≒2,631円となります)

ちなみに電気料金は2000円を下回ることは1月もありませんでしたので、1万円分は売れないと収支はマイナスです。1万円売るには120円のジュースを83本売ることが損益分岐点になります。

ちなみに、この月の売り上げランキングは以下の通りになります。

第1位 劇的微糖         24本

第2位 W cofeeカフェオレ缶    12本

第3位 ウィルキンソン        9本

第4位 タリーズ コーヒーブラック 7本

第4位 不二家 レモンスカッシュ  7本

第4位 タリーズ エスプレッソ   7本

伊藤園さんだけに、お茶系が上位に入るかと思ったのですが、コーヒー系強しでした。タリーズ系も奮闘しています。

少ないN数で統計的に大きなことは言えず、お恥ずかしい限りですが、あくまでも、私の自販機の販売数ランキングとしてお考えください。

医局や当直室の買い置き飲み物など、何を買おうか迷う際に、ご参考頂ければ幸いです。

自動販売機の繁忙期

自販機の運営をしてみて感じたのは、月によってかなり売り上げと運用コストに差が出るということでした。コストとはつまり電気料金です。

電気料金は季節や気温により大きく変動します。天候や季節に左右される点は太陽光発電(こちらの記事をご参照ください)と似ていますが、太陽光発電よりも特徴がつかみにくく傾向が読みにくい印象ですが、1,2月と、7,8月に高い傾向がありました。

一方で売り上げはというと、私の自販機の場合は入居率に影響されるようです。年度間を比較してもあまり傾向がつかめませんでした。これは私の自販機のお客様のほとんどがアパートの賃借人さんだからだと考えられます。もっと大通りに面していたり、学校や公園などが近隣にあれば変わってくるのだと思います。

普通に考えると夏はのどが渇いて、飲み物がたくさん売れるかと思われがちですが、あまりその傾向も認められませんでした。ただ、これは私の自販機の特徴であって、一般的に自販機全般に当てはまるとは考えにくいと思います。

自販機の運営は儲かるのか?

私の自販機のある年の電気料金と振込額の収支を示します。

見事に儲かってません(泣)。一方でメーカーさんは確実に儲かっていると思います(人件費はかかっていますが・・・)。

自販機の世界にも勝ち組と負け組があるとすれば、私の自販機は間違いなく負け組でしょう(泣)。

でもいんです。私の自販機の存在意義は、あくまでもアパートの賃借人さんや地域住民の方々へのサービスであって、儲けるためにやってるのではないんです(負け惜しみ)。これも経費の一つ、と割り切るようにしています。

住宅街の、しかも人通りの少ない道路の盲端にある2階建て6戸のアパート前で頑張っている自販機の収支としてはGJといえるのではないでしょうか。私的にはむしろ、アパートの賃借人さんや、地域住民の方々が、こんなにもうちの自販機を使ってくれていんだ!ということに驚いております。

本症例を考察する上で興味深いのは、立地条件としてはかなり不利な自販機でも、年間の赤字は1万円以下に収まるということです。立地条件の良い自販機であれば十分、黒字運営できる可能性は高いのではないでしょうか。

自販機運営は、他の投資に比べ、転んだ時の出血量は少ないという安心感はあります。しかも初期投資額は0円です。コインランドリーのように高額のイニシアルコストもかかりません。

株式のようにポートフォリオを自分で組み直す必要もありませんし(メーカーさんが考えてくれます)、不動産のように修繕費や空室リスクに怯える必要もないのです。全てのオペレーションがメーカー任せなので手間は全くかかりませんし、収益の変動も少ないです。

ある意味、忙しい勤務医向けの投資の一つと言えるのかもしれません。

結論:私は惨敗でしたが、自販機が儲かるかどうかは立地による!

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