ご無沙汰しております。
先日、某有名医師専用ポータルサイトの記事で「医師は超高級車を買うべき」という記事に遭遇しました。勤務医にとって超高級車を買うことが税制や資産価値的上、有利にならないことは以前の記事で紹介させて頂きました。副業で個人事業主となっていない勤務医にとって、車は節税にはならないと私は考えています。そんな観点からも、「医師は超高級車を買うべき」というタイトルは、とても興味深いと同時に「??」でした。さてさて、その真意や如何に・・・?
・・・結局のところ上記記事からは、私的には、勤務医が超高級車(高級輸入車)を買うべきメリットを読み取れませんでした。どちらかというと「敷居が高い高級輸入車のディーラーを訪れる際の心得」的な内容に見受けられました。また、超高級輸入車はキャピタルゲインを期待するような投資対象としては不向き、というような内容も書かれていました。
それでは勤務医が輸入車を購入するメリットはないのでしょうか?今回の私のメルセデス購入から売却までの経験が少しでも参考になれば幸いです。
さて、私は2020年までは、3列シートの某ワンボックスカー(国産車)に乗っておりました。これは、大学医局勤務時代に400万円の自動車ローンを6年間のフルローンを組み、新車で購入しました。当時はこどももまだ小さかったため、家族で旅行に行く際や習い事の送迎などの際に、2列目シートが左右独立しているキャプテンシートはとても快適で、家族にも大人気でした。
我ながら良い買い物をしたと思っていましたが、当時の収入は、アルバイトも込みで、ざっくり言うと手取り年収1,000万円前後でした。単純計算しますと1月あたりの収入は80万円前後になります。当時のローン返済状況は、住宅ローンとソーラーローンが併せて15万円ありました。ここに毎月約3万円、ボーナス月は約13万円のローンを加えることになったのです。読者の先生方はこの状況をどの様にお考えになりますか?
マイカーローンの1月あたりの支払額は約4.5万円ですので、毎月のローン総額は約20万円、返済比率は実に25%になってしまいました。この時点で毎月の可処分所得は80万円→60万円になってしまいます。また、この時点での家族状況は、こども二人のうち一人が私立に通っていましたので、毎月の学費が約5万円、さらに習い事の月謝、携帯電話、生活インフラ(電気・水道代)に生命保険等を引いたものが手残りとなります。
さらに大学医局時代はアルバイト依存係数の高い収支生活ですので、祝日や学会出張などにアルバイト日が重なると収入は変動します。このような状況下でさらに固定出費を上積みするのは、今考えると無謀だったと思います。
ファイナンシャルプランナー的にはローンの返済比率は年収400万円までは30%、400万円以上は35%以内が妥当、とされています。しかし出費の多い勤務医のローン返済比率は20%以下が安心・安全だと私は考えております。特にマンションなどは住宅ローン以外にも修繕積立金と管理費が固定費として永遠にかかり続けるので、マンションの場合の住宅ローンの返済比率としては15%くらいを上限と考えておけば、勤務医生活にゆとりが生まれるのではないかと考えております。ちなみに現在の私の住宅ローン(区分マンション)の返済比率は10%です。
さて、転職後、この愛車のローンは前倒しで一括返済しました。自動車はこの時点で初めて資産になったと言えます。ただ、不動産購入などのローンを組む際の審査において、自動車は資産に計上されません。一般的には保有不動産と、金融資産(証券口座含む)くらいしか審査申込書に記入する欄がありません。逆にマイカーローンの記載欄はありますので、ローン残高のあるマイカーは、まさに「負の資産」と言えるでしょう。
不動産投資を通じて、少しずつこのような状況を学んできたため、2021年の買い換えの際には、ローンは組まずに現金一括で購入することにしました。私は今まで輸入車を購入することは資産形成上メリットがないと考えていたのですが、ふとしたことからYANASEでトップセールスマンとして君臨していた元営業マンと知り合うことで考えが変わりました。
その方は、現在はYANASEを退職し、幾つかの会社を経営する事業家ですが、副業として輸入車の個人間売買の仲介もしている人(以下Bさん)です。2年くらい前にBさんと投資関係の話している時に、メルセデスのGクラス(通称ゲレンデ)の中古車は新車を超える価格で取引されている、という話を聞きました。2022年現在もTOYOTAのランドクルーザーに同様(それ以上)の現象が起きていますね。そこで私はメルセデスの中で値落ちしにくい車種、色、モデルなどを教えてもらい、車種は「GLC」 モデルは「220d 4Matic」ボディカラーは「白か黒」、走行距離は「1万km以下」という条件を設定しました。
なぜメルセデスを候補にしたかというと、安全装備と自動運転技術が、日本車も含むあらゆる自動車メーカーの中で秀逸であると、Bさんから聞いたからです。
当時、私たち夫婦は他県で新築の不動産投資事業を手がけていたのですが、高速道路を片道400km近く往復するのに、大きな疲労感を感じていました。電車での移動にすれば確かに駅to駅では楽なのですが、新築不動産投資では、ハウスメーカーさんや外構会社さん、地元不動産屋さん巡り、役場への申請など、どうしても現地での脚として車が必要になるため、車での移動が必須だったのです(荷物も多かったです)。
当時の愛車にもレーダー・クルーズコントロール機能は搭載されていましたが、レーダーの感度が悪いのか、エンジンのパワー不足なのか、前方の車との車間距離を一定に保つと言うよりは、車間距離が離されてから急加速して追いつき、縮まってはブレーキをかけるという感じで完成度が低く、快適性に欠けていました。また、車線感知機能も、申し訳程度にアラームが鳴るだけで、ハンドリングをアシストしてくれる機能はありませんでした。このように愛車のクルーズコントロール機能の完成度は低かったため、1-2回使用した後は、2度と日の目を見ないお飾り機能となっていました。
しかし、メルセデスのレーダーセーフティ機能は日本車に比べクオリティが高く、特に「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(ADAD)」は全く別次元であるとBさんから聞きました。「高速走行中は、ほとんど足を使わないし(?)、手を離してても大丈夫、運転しながら目薬だってさせますよ!」と言うではないですか!目薬をさすのは問題ですが(やってはいけません!)、実際にGLCに乗ってみた後に、この話が大げさではないことを実感することになりました。
ADADは、手元の専用シフトレバーで、前の車との距離、最大速度を設定しておけば、実にスムーズに車間距離を一定に保ちながら巡航してくれます。前の車が加速する際にも、「予知していたのか?」と思うほど静かに、距離を保ち続けてくれるのです。長距離の高速道路運転において、アクセルワークから解放されることが、こんなに疲労軽減に繋がるのかということには本当に驚かされます。スポーツカーでガンガンエンジンを吹かしながら、走りを楽しみたい方には不向かもしれませんが、「車移動は静かに快適・安全に」が信条の我が家には、まさにマッチしています。さらにADADは渋滞中や街乗りシーンでも大活躍します。渋滞中にアクセル踏んだり、離したり、緩めたりの操作は一切不要で、快適に前車との距離を保ち続けてくれます。街乗りでも最大速度を指定しておけば前を走る車に見事に追従してくれます。赤信号でも先行車がいれば、前の車に合わせて減速、停止してくれます。
ADADに加え、アクティブステアリングアシスト機能(以下ASA)も秀逸です。実際にステアリングから手を離し続けると振動で警告されますが、東名高速道路のようなカーブの少ない高速道路では、ほとんど手放し状態で運転可能なレベルです。まさにBさんの言う「足も手も使わない運転」に近い完成度と言えます。
とはいえ、メルセデスの自動運転システムは「レベル2」なので、ハンズオフ、いわゆる手放し運転が許されているレベルではありません。実際に、一定時間を越えてステアリングから手を離し続けると警告があり、その後も手を離し続けると機能がキャンセルされてしまうので要注意です。しかもハンドルを握っているかどうかの判断は、静電式ではないので、トルクをかけずにハンドルに手を添えているだけだと、警告されてしまうので(ハンドルの振動と、ディスプレイに警告マークの表示)少々不便を感じます。
さて、そんなメルセデスの中での「GLC」の位置づけは、基幹車種とも言える「Cクラス」のSUVモデルに当たります。「4Matic」は4輪駆動を、220dの「d」はディーゼル車を意味します。日本車において、ディーゼルと言うと、バスかトラックというイメージで、エンジン音もうるさい印象がありますが、メルセデスのディーゼルはとても静かです。さらにディーゼルは、ガソリンに比べ単価も安く、その上燃費も良いので、燃料価格が高騰している昨今はお財布にも優しい燃料と言えましょう。
毎日仕事前と昼休み、帰宅後にひたすらYANASEの認定中古車サイトを探しまくる日々が始まりました。
初めての輸入車購入でドキドキしていましたが、理想の車に出会ったら、迷わず買い付けをすることを自分に言い聞かせていました。不動産と同じで即断即決が好物件を購入できるかどうかを左右すると思ったからです。もちろん吟味は必要ですが、自分が買いたい物件を常に具体的にイメージしておき、出会った際には即指値!をしておかないと、良い物件はすぐに買い付けが入ってしまいます。不動産も中古車も基本的に、早いモン順ですので。
そんな2020年末のある日、まさにイメージ通りの車が認定中古車サイトに登場しました!しかも同県の販売店に入荷されています。お値段は474万1千円!走行距離も7500km!当時の市況としてはなかなかのお買い得車だったのではないでしょうか。
早速最寄りのYANASEに電話です!・・・だが時すでに遅し、すでに商談中とのことでした。担当セールスマンの話では、残念ながら商談権は2番手とのことで、人気車種なので、おそらくは売れてしまうだろうとのことでした。残念ながら縁がなかったものと諦めました。
しかし翌日、1番手の商談が流れたとのことで、私に商談権が回ってきました。本当か嘘か分かりませんが、この時点で私の後に2組商談待ちが待機していると追い打ちがかかります。その日のうちに、妻と二人で販売店まで実車を見に行きました。実車を目の前にすると惚れ惚れしました。妻も初めての輸入車に些か興奮気味です。エンジンをかけてみると、独特のディーゼル音はありますが、とても静かで品があります。時間がなかったので試乗はせずに、外観、内装を確認し、明日中に返事をする旨を担当者に伝え帰路につきました。
さて、夫婦会議です。議論になったのは、小さな破損箇所が1カ所あったことと、値引き交渉、愛車の下取り方法についてでした。結論的には、破損箇所は機能的に全く問題がないので、むしろ値引き交渉に使えるのではないか?ということで了承、値引き交渉は私が担当、愛車の下取りはまずはディーラー(愛車の)に持ち込んでの見積価格をコントロールとして、近隣2社の買い取り会社で相見積をとることとしました。下取りについての詳細は別記事で紹介させて頂くことにします。
翌日はいよいよ、セールスマンとの交渉です。極力、緊張感を醸し出さないように夫婦二人で平静を装い、あたかも輸入車販売店にも、近所の街中華並みに足繁く通っているかの体を装いながら(初めてなのに・・・)訪問しました。そして肝心の値引き交渉は、以下のようなストーリーで望むことにしました。
まず私は、購入する場合はローンではなく現金一括で考えている旨を伝え、購入にとても前向きな風を演じます(冷やかしではなく買う意欲のある客の演出)。一方、家内は、このお車を運転するのは緊張してしまうのであまり乗り気ではない風を演じさせます(我が家は夫婦で車1台)。そしてタイミングをみて「お値引きしてもらえるのであれば、考えたいんですが・・・」と言ってもらい、私は「おいおい、それは難しいだろう」と諫める役を演じつつ、営業マンの顔色を見る・・・という作戦です。今になって思えば、夫婦漫才みたいで笑ってしまいますが、YANASE初体験の私たちは真剣そのものでした。
その結果は・・・・概ねストーリー通りに展開され、
妻「お値引きしてもらえるのでしょうか?」
私(よーしここからが山場だぞ!)
営業マン「はじめに言っておきたいのですが、私は値引き額は2%と最初から決めております」
私「えっ!(約10万円か・・・なんとも微妙やないの・・・)そ、そうですか(妻を一瞥)」
妻「い・良いんじゃないかなあ」
私「よし deal ! 」
営業マン「即断即決、誠にありがとうございます。」
なんともすんなり進んでしまいました。「ちょっと上の者と相談して参りますのでお待ち下さい・・・」的なやり取りを想像していたのですが、ある意味拍子抜けでした。一方で、この方法は交渉を無駄に長引かせないためには有効な手段だなと感心しました。後ほど前出のBさんに経緯を伝えたところ「良い買い物だったと思いますよ!」とのお言葉をもらえたので一安心でした。
さて、こんな経緯で476万円で購入したGLCとの生活が始まりました。マンションの立体駐車場にはぎりぎりのサイズだったり(車幅1.9m)、スタッドレスタイヤが高すぎて購入を諦め、4駆なのに雪が落ち着いた3月にしかボードに行けなかったり、色々な思い出がありました。機会がありましたら、初めてのメルセデスベンツについて記事を書こうと思います。
さてさて、この買い物、勤務医の資産形成において正解だったのか、はたまたやっちまったのか・・・その答えは乗り換え時の買取価格だけが知っているのでしょう。