私の住居歴 ① 長屋式の旧型戸建て
私が医師になった頃は、研修医制度が今と異なっており、3月に卒業後、勤務開始と同時に医局に入局し専門医研修がスタートするのが一般的でした。私も例に漏れず、卒業大学の某医局になんとなく入局しました。医局入局までの紆余曲折については、こちらの記事に詳しく記載しておりますのでよろしかったらご一読ください。さて、研修医時代の1年間はほとんど家に帰らない状況でしたので、住まいなど「どうでも良い」くらいに思っており、特に拘りはありませんでした。唯一重視したのは「防音性と、プライベート空間の確保」。そこで選んだのは築15年くらいの平屋の戸建て賃貸物件でした。田舎にありがちな、平屋が5軒くらい平行に並んでいる長屋タイプの物件です。目の前の畑の地主さんが大家さんというこれまたありがちなパターンでした。なすトイレ別の3K、家賃5万円、共益費なし3坪ほどの庭付き、駐車場2台というスペックでした。戸建てなので防音も問題なく、他の棟の方もほとんどが御家族世帯だったので静かで住みやすく、夜中の帰宅や、夜中の呼び出しも迷惑かけずに済みました。この物件で得た教訓は、多少古かろうがやはり戸建ては快適、ということでした。
私の住居歴 ② 木造2階建てアパート
研修医1年が終了し、2年目は2階建ての木造アパート(4戸)の1階でした。間取りは2DK位だったと思いますが、防音は今ひとつでした。しかも勤務先の病院の借り上げだったので、周りは全て同じ病院に勤務する医師とその家族、というクローズドなコミュニティでした。家賃の支払額は覚えていませんが、病院が半額負担してくれましたので5万円以下だったのではないかと思います。防音性能が悪い上に、目の前に中学校のテニスコートがあり、朝練や土日の練習日などは、朝ゆっくり眠ることが難しかったのが辛いところでした。また、これは住居と言うよりも居住者の問題ですが、「それなりに」女性達とのお付き合いがある独身医師時代に、周りの医師と、その家族にプライベートが筒抜けになってしまう社員寮的な環境は心地よいものではありませんでした。
私の住居遍歴 ③ 軽量鉄骨2階建てアパート
その後も、独身時代に2回ほど異動がありましたが、その内の1件も病院の借り上げ物件でした。こちらの物件はおそらく軽量鉄骨で、2階建て4戸の比較的立派なマンションタイプのアパートで、防音性にも優れていました。ただ、同様に入居者全員が同じ職場の医師ということと、目の前に広大な田んぼが広がっているため、夏場の蛙の鳴き声と飛来する昆虫たちには悩まされました。実はこの物件の時からチワワを飼い始めたのですが、防音に優れていたため特に問題にはなりませんでした。これらの物件で得た教訓は、どんなに家賃が安くても病院が1棟借り上げている物件はプライバシー・クライシスのリスク大(特に若い先生は要注意)、ということでした。
私の住居歴 ④ エレベーター付きの4階建てRC物件
前述のチワワを飼い始めた頃から妻との交際が始まり、次の異動の時に結婚することになりました。異動先の新居までの距離は370km(Google map)ほどありましたので、引っ越しは大変でした。ただ、幸いなことに引っ越し代の一部を異動先の病院が負担してくれたので助かりました。大学への移動の場合は引っ越し代は全額自己負担となるので、この差は大きかったと思います。とはいえ、50万円以上の自己負担は厳しいものです。さて、二人暮らしとなったこともあり、今度の住まいは、築10年前後のRC(鉄筋コンクリート)4階建て、3LDKで、初のエレベーター付き、駐車場は屋根無し平置き2台込みという物件でした。こちらも家賃の半額を病院が負担してくれました。最上階の角部屋でとても快適でしたが、丁度1年経ったところで再び異動となりましたが、異動直前に第1子が誕生しました。この物件での教訓は、やっぱりRCのマンションは快適、ということでした。
私の住居歴 ⑤ 丘の上に発つ瀟洒な戸建て
今度の引っ越し距離は同一県内の移動でしたので移動距離は、それほど問題にならなかったのですが、新生児を連れての3月の引っ越しは要注意でした。冬には結構な雪が降る地域でしたので、引っ越し日の3月下旬は夜の冷え込みもきつかったので、あかちゃんを低体温にさせないためにも、お昼頃から夕方までには引っ越しが終わるように段取りました。が、引っ越しにトラブルはつきものです。手違いで引っ越し便の到着が日没後となってしまい、車の中でひたすらトラック到着を待つことになりました。異動に伴う引っ越し苦労譚についてはこちらの記事にまとめてあるので是非ご一読ください。さて、今回の引っ越しから、夫婦2人+赤ちゃん1人+ワンコ1匹と家族も増えましたので、新居は、戸建て賃貸を選びました。と言っても、研修医時代の平屋の戸建て集合住宅ではなく、丘の上の瀟洒な住宅街に建つ南向きの2階建て、庭付き駐車場つき一軒家です。もともとマイホームとして住まわれていた家主さんが、九州に引っ越されるということで賃貸に出された物件で、家賃は13万円ほどだったと思います。間取りは1階が20畳ほどの対面式LDKと1部屋、2階に3部屋の4LDKでした。1階のリビングには全自動、タイマー式のシャッターが内蔵されており、初めての装備に心躍りました。何よりも妻が気に入ってくれたのが決め手でした。家賃的には結構厳しかったですが、異動先の病院は県立病院だったため半額までとはいかないものの、3割くらいは負担してくれたと思います。それと、住み始めてしばらくしてから知ったことでしたが、物件の斜め向かいに、同じ医局の先輩の一家がお住まいになっており、妻は何度も先輩のご夫婦に助けられました。この物件での教訓は、当直で不在の夫(遠くの親戚)より、近所の先輩家族(近くの他人)。そしてやっぱりマイホーム用の戸建ては最高!ということでした。
私の住居歴 ⑥ 都内近郊の新築戸建て
さて、そんな最高なマイホーム戸建ての生活でしたが1年で異動となりました。今度は東京駅まで特急で35分の東京近県の某医療法人の病院です。またまた、200km弱の大引っ越しです。家族が増えている分、荷物も増えていましたし、妻によると、戸建てに住むと何かと物が増えるそうです。またまた引っ越し貧乏です。荷物が増えていることもあり、戸建ての快適性を知ってしまった私たちは今回も戸建て(2階建て)物件を選びました。ちなみに今回の物件は新品のエアコンがリビングに備え付けてあり、引っ越し時間がずれても安心の物件です。そして、今回の物件は、なんと新築物件です!当時は、なぜ新築の物件が賃貸物件になるのだろう?と疑問には思いながらも深くは考えませんでしたが、とにかくピッカピカの新築物件でテンション高かったです。家賃は11万円前後と控えめだったのも嬉しかったです。幹線道路から少し入った住宅街の一角に佇む本物件は、1階がリビングの3LDKの間取りでした。お風呂にテレビが付いているのも嬉しかったです。そして何よりも初の新築戸建て体験は、「いつかはマイホーム!」の考えを私たちの心に芽生えるきっかけになりました。娘も1歳を過ぎて可愛い盛りでしたし、3人と1匹で新築戸建てライフを満喫している最中に、その事件は突然起こりました。帰宅後、私が書斎で仕事をしていると、突然の「ガタガタガタ~」という騒音と、娘の大啼泣!何事かと思って駆けつけると娘が階段から見事に転落していました。「明らかな外傷、出血無し、啼泣しており、嘔吐などの中枢神経症状無し、しっかりと歩くこと確認」し、24時間の経過観察で異常を認めず幸い事なきを得ましたが、2階建て戸建てには階段ガードは必須!と痛感させられる事件でした。今回の物件での教訓は、やっぱり新築戸建ては最高!お風呂にテレビと階段ガードはマストアイテム、ということでした。そんな都内近郊の快適な新築戸建て生活も1年で終りを告げるのでした。
私の住居歴 ⑦ 縦列駐車2台の築年数の古い戸建て平屋
今度の異動先は大学病院となりました。またまた200kmの引っ越し大作戦です。しかも今回の異動先は無慈悲の大学!今までの引っ越しでは引っ越し代の一部を異動先が負担してくれていたのですが、国立大学に血も涙もありません。鬼の全額自己負担で引っ越し代金およそ80万円、さらに当時は田舎では礼1敷2(礼金1ヶ月敷金2ヶ月)が当たり前でしたので、さすがに戸建ては諦めざるを得ないか・・・と思っていたのですが、妻が執念で物件を探し当てました。築年数はそこそこで、駐車場は縦列2台と不便な点もありますが、平屋3DKの一戸建て(小さな庭付き)、家賃は9万円弱の物件です。大学病院まで徒歩2分という、良いんだか悪いんだかのおまけ付きでした。もちろん大学病院からの家賃補助はありませんので、家賃的にも限界の物件でした。今後続くであろう薄給生活のイニシャルコストが、引っ越し代と入居費用もろもろ併せて150万円弱というのは痛恨の一撃です。そんなスタートではありましたが、この物件入居中に第2子も誕生し、私の大学生活も当初は誰も予測しなかった方向に大きく変化していきました。そういう意味では今となっても思いで深い物件です。この物件での教訓は、職場近くの物件は、やはり便利で安心。何かと騒がしい乳幼児がいる家庭では、小さくても戸建てが快適、ということでした。ただ、この時はまだ気付いていなかったのです。薄給の身に容赦なく襲いかかる住民税地獄と、月10万円弱の家賃の支払いには真綿で首を絞められていく様なものだということに・・・。
私の住居歴 ⑧ 夢のマイホーム構想
この小さな戸建て物件は、静かで子育てには良い環境だったこともあり、私的には満足していたのですが、大学病院生活も2年が経過しようとしたときに、以下のような思いが錯綜しました。
- もしかしてこのまま大学に居続けることになるかも・・・
- 2年経つと家賃2ヶ月分の契約更新手数料がかかるな・・・
- 毎月9万円の賃料はローンの支払いと変わらないのでは・・・
仕事上の予感と、マイホーム購入への体の良いexcuseが脳裏に浮かんできたのでした。後方視的にみれば、当時はゼロ金利政策前でしたので、フラット35の金利が3%弱だったと思います。4000万円を元利均等の金利3.8%、35年ローンで組んだ場合、月々の支払いは17万2千円となるのですが、過小評価しています。さらに異動後3年以内なので銀行的に属性評価が下がるにもかかわらず、「医者なら住宅ローンが組めないはずがない」と自分の属性を過大評価していました。しかし、そんな現実は知る由もなく、流れるように都合の良い方向へとチェンジマインドしている矢先のことでした。「めちゃくちゃ良い土地があるよ!」と妻。何でも秘かに大学近辺で良い土地がないか、日々自転車で探し回っていたようです。「条件付き、っていう土地なんだけど、場所はめちゃくちゃ良いし、人気の○○学区だよ」とのことでした。そうです。娘(第1子)の小学校入学が近づいていたのです。当時は「建築条件付き土地」の意味も分からず、「それなら住宅展示場行ってみるか!」となり、「やっぱり○○林業がいいな、でも○○ホームもいいよ」などと素人丸出しでした。とはいえ、南向き角地85坪程のその土地は、私たちにはとても輝いて見えました。「北側にカーポートを作ろう、南側には芝生の庭を造ろうよ!」と盛り上がる一方でしたが、いざ購入の時点で厳しい現実を知ることになるのでした。
私の住居遍歴 ⑨ マイホーム時代
契約更新前にはすっかりマイホーム購入の意思を固め、教授にも「家を建てます」すると、「大学院生がマイホームを持つなんて前代未聞だ!」と半ばお怒り気味でした。言われてみればその通りなのですが、「はい、頑張ります」と訳の分からない返事をして、購入に向けて動き出します。「○○林業は坪65万円らしいぞ、高いよな~」「ローンはやっぱり地元の○○銀行だよな」などと妄想は止まるところを知りません。そして知ることになるのです。建築条件付き土地は建設会社を選べないことを・・・。衝撃でした。聞いたこともない地元の建設会社でしか家が建てられないなんて・・・。立地を優先すべきか、建設会社を優先すべきか、大いに迷いましたが、「万が一売ることになったときは、(経年劣化して)価値が下がる建物よりも、価値が減らない土地を優先した方がいいんじゃないかな」という妻の考えに賛同することにしました。妻はただの専業主婦で、不動産関係に関する知識など全くないのですが、「ものを見る目」に長けていることが、この後明らかになるのですが、今考えても、この発言と、この土地を探し当てたことは共にnice workでした。そんなこともあって、間取りや設計は全て妻の好きなように任せることにしました。建築費は土地代、外構込みで4000万円、私は融資先をみつける役を担当することにし、意気揚々と地銀の○○銀行を訪ねました。そして言われてしまうのです。
融資担当「お医者様とはいえ、勤続年数2年目では4000万円の御融資は難しいかもしれません・・・」
私 「えっ?大学病院勤務は確かに2年目せうけど、医師としては10年近く働いていますよ」
融資担当「毎年、職場変わられていますよね・・・」
私 「それが何か・・・?」
融資担当「お役に立てず申し訳ありません」
私 「・・・・・」
そうです。まさかの rejectでした。しかも店頭即答で一次審査にすら進めませんでした。今考えてみても結構厳しいジャッジだなとは思いますが、頭金無し(貯金無かったので)、諸経費込みのオーバーローンが条件だったことも影響していたかもしれませんが、これが現実でした。結果的には、建設会社の紹介で、地元の労金さんから無事ローンが引けたのですが、当時は「住宅ローン特約」の存在も知らなかったので危ない橋を渡っていました。しかもローン内訳はフラット35と労金の住宅ローンの併用に無担保のフリーローンの三本抱き合わせで、結果的に金利は4%弱だった上に、なぜか強気の元金均等払いで月々のローンは20万円を越えていました。超低金利の2021年現在では考えられない高金利な上に、勤務医という高属性を全く生かし切れていない悲しい契約内容でした。当時の私はそんなこと知る由もなく、ローンが通って良かったとしか感じていませんでした。ともあれ、無事に契約は終了し、聞いたこともなかったハウスメーカーさん(失礼な言い方でごめんなさい)にマイホーム建築を依頼することになりました。ちなみにこのハウスメーカーさんは、営業さんも職人さんも皆さんスキルが高く、ほぼ予定通りの工期に竣工しましたし、現在までのアフターサービスにもたいへん満足しています。マイホームのスペックは以下の通りです。
- 土地面積80坪
- 木造2階建て+南面に40坪の芝生の庭
- LDK18帖の5LDK+3帖の納戸
- 跳ね上げ式電動門扉付きの屋根付きカーポート(並列二台分)
- 二階南面に8帖のウッディデッキのバルコニー
この物件での教訓は、マイホームを建てるなら減価償却される建物よりも、立地(土地)を重視せよ。ローンは勤務医の高属性を駆使して好条件をつかむべし、ということでしたが当時は気付いていませんでした。
私の住居遍歴 ⑩ 駅徒歩5分の高層マンション
さてさて、私の住居遍歴もこれで最終話になります(2021年現在)。夢のマイホームはご近所さんにも恵まれ、自治会活動を通して地域の方々にも良くして頂き、選んだ学区はやっぱり正解だったしと、満足のいくものでした。夢だった屋根付き電動門扉のカーポートは車も汚れず快適でしたし、芝生の庭では、こども達がワンコと楽しそうに走り回り、バーベキューも何度もやりました。
書斎に接続したウッドデッキのバルコニーは、天気の良い休日に、ビール片手に文献を読みふけるのに最適でした。妻もアイランドキッチンと18帖のゆとりのLDKに満足の様子、お風呂にはテレビも付いて(建設会社からのプレゼント)快適なバスタイムでした。後に太陽光発電システムも設置しました(収支についてはこちらの記事をご参照下さい)。楽しく幸せな思いでばかりのマイホーム生活で、これぞ「終の棲家」と思っていたのですが、なんとここで、10年ぶりの異動となりました。今度は医局人事での異動ではありません。こども達も成長しそれぞれ中学生と小学生になっていました。色々と不安もありましたが妻もこども達も私の決断について行くと言ってくれました。今回の引っ越しは史上最大の作戦となりました。移動距離約300km、そして何より10年弱のマイホーム生活で荷物は無限とも言えるくらいに増大していました。引っ越しの合見積では各社90万円前後でした。
引っ越しの際には必ず相見積もりを取ることをお勧めします。たまに「引っ越しは勤務医の必要経費」などとおっしゃる先生がいますが、その場合でも必ず相見積もりを取る方が賢明です。上図の見積もり書でも2社で3万円以上の差があります。また、各社得意分野が異なるため、サービス内容も異なりますので、サービス内容を比較する上でも相見積もりは重要です。下記サイトのような一括見積もりサービスも便利です。引っ越しの際の注意点を最後にもう一つ、なるべく7月と3月の繁忙期に申し込むことは避けましょう。いわゆる引っ越しシーズンなので業者さんも強気で、値引き交渉が不利になります。たとえ上記の繁忙期に引っ越しする場合でも、見積もりの時期を早めて余裕を持って交渉することをお勧めいたします。
さて、今度の異動はヘッドハントでの異動です。引っ越し代は全額病院負担でした。「全額」病院負担は今までになかったことなので、とても助かりました。問題は新居の物件です。従来通りの戸建てか、あるいはマンションか迷いましたが、結果的にはマンションを選びました。病院最寄りの駅がJRと私鉄の総合駅であり、駅付近は結構栄えていたので、駅まで徒歩1分という立地の良さと、セキュリティの安心感が見目手になりました。今度の物件は、高層マンション(といっても14階ですが)の最上階角部屋、約80平米、2LSDKで、築4年ですが、未入居物件でした。投資目的の物件だったものの、家賃設定が高額なためか、借り手が中々みつからなかったようです。当初の家賃設定は駐車場込みで20万円でしたので、それも頷けました。しかし、この長期空室期間は借り手にとっては減額交渉のチャンスでもあります。オーナーさんはこの間、マイナスのキャッシュフローを積み重ねているわけですから、投資家の心情としては、一刻も早く入居者を入れて赤字経営から脱却したいところです。また、借り手側(私)の条件としては、病院側が家賃の半額、最大7万円まで家賃補助してくれるという条件でしたので、3万円の減額交渉と、決まり文句の「この場で即決します」作戦で交渉してみましたところ無事deal!となりました。
色々なタイプの住居に住んでみて・・・
こうして振り返ってみますと、25年近くの勤務医人生の中で、居住地も四県にまたがり、10物件以上の、実に様々なタイプの住居に移り住んできたことを実感します。この経験は現在の不動産事業にとても役に立ってくれているのですが、それでは、どの物件がベストだったか?と問われると、正直答えに窮します。住居は単に物件としてのスペックだけではなく、住む人、住む家族によって、ニーズやプライオリティが変化します。この記事では多くは触れませんでしたが、家族と住居の関係はとても重要だと考えております。それぞれの物件にメリットもデメリットもあったと感じますが、成長する家族とともに住まいも変えていくことが出来たのは面白かったなあと思います。例えば、我が家の場合、子どもが幼稚園児から小学生までを田舎の広いマイホームで過ごし、子どもが大きくなった中学生から高校生を都心の狭い2LSDKのマンションで過ごしました。普通に考えれば、こども達が大きくなって思春期になる頃にこそ、「子ども部屋」が必要になると考えると思いますが、我が家にとってはむしろ、狭い住居で家族の距離感が近い状況で過ごしたことで、こども達、夫婦間の距離が縮まり、家族が団結できた様な気がしています。また、今後数年内に2人の子どもが大学に進学し、家を出て行った後、広いマイホームに夫婦二人で住まい続けることは寂しい気もします。
マイホームと賃貸、どちらが良いかと問われれば、私は「家族の状況による」と答えるでしょう。家族、特にこどもの成長段階や自分の医師としてのキャリアによって理想の住宅は変化するのではないかと思っています。そう考えますと、当分(この先10年くらい)は、マイホームを購入して定住するよりも、流動的に暮らしをデザインできる賃貸生活が自分には合っているのではないかなと思います。