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勤務医はマイホームを買うべきか、借りるべきか?

マイホームか 賃貸か?正解は・・・

住まいとは、勤務医に限らず人にとって大切な衣・食・住の一つです。それでは勤務医はマイホームを購入するのと、賃貸住宅に住むのとどちらが良いのでしょうか?

初めにその答えを言ってしまうなら、「全ての人に共通した答えはなく、個人の状況により異なる」ということになります。

「答えになってないだろ!」という声が聞こえてきそうですが、答えを急がずに、私の住居遍歴を材料に、それぞれのメリット、デメリットについて考えてみましょう。

マイホームを持つメリット

何といってもマイホーム=一国一城の主です。自分と家族のための完全なプライベート空間を確保することができるのは最大のメリットでしょう。マイホームを購入することの最大の理由は、何といっても、資産をもてるということではないでしょうか。「毎月家賃を払うのがばからしい」と言って、マイホーム購入に踏み切ったという話は実際良く耳にします。

毎月10万円の家賃を支払うということは、金利0.49%、返済期間35年で3,860万円の住宅ローンを組んだ場合の返済月額(100,029円)と同等です。毎月のキャッシュアウトが同額であれば、将来自分のものとなる(資産として残る)マイホームを取得する方がお得、という気持ちは分からなくはありません。

戸建てのマイホームを持つと、収納に困らなくなります。これは実際にマイホームを持ったときよりも、戸建てマイホームからマンションに引っ越した時に痛感することが多いです。これは何回も引っ越しを重ねてきた家内の証言です。

中古の住宅を購入するのも賢い選択の一つです。「新築マンションは購入した直後から中古マンションとなるで資産価値は低下する」と言われています。もちろん付加価値が付いて売却価格が購入時よりもアップする場合もありますが、このようなキャピタルゲインを狙ってマンションを購入するのはリスクとなります。この様な理由からも良質な中古マンションを購入することは、同じ立地の物件を安く購入出来るという意味ではお得であると言えます。私の知り合いの不動産営業ウーマン曰く「マンションの価値は立地が全て」です。多少間取りが狭くても、駅まで徒歩7分圏内、出来れば5分圏内のマンションは値崩れしにくいそうです。

一方、鉄道が発達していない車社会の地方都市では駅近物件よりも、駐車場が平置きで2台確保できるとか、接道状況や、周辺の道路状況が良い物件がリセールバリューは高くなります。戸建ての場合は、ファミリーユースが前提となるので人気の公立小・中学校の学区であることも物件価値を上げる要因となります。

こうして、価値ある立地に中古の戸建てやマンションを購入しても、内装が時代遅れであったり、自分の好みに合わない場合はリノベーションがお勧めです。分譲マンションの場合はバルコニーやエレベーターホールなどは共用部になるので、手を加えることは出来ませんが、室内の間取りを変更したり、シンクやユニットバスを交換することで新築同様にリノベーションすることも可能です。壁紙を変えるだけでも、見違えるほどスタイリッシュなお部屋に生まれ変わることもあります。ただ気をつけたいのは網戸や窓の色などはマンション組合などによって規制されている場合もありますので必ず管理会社に相談しましょう。

マイホームを持つことのデメリット

「一生に一度」と例えられることもあるマイホームの購入ですので、嫌になったからといって別の物件に買い換えるというのは、なかなか難しいのが現実だと思います。一個人が組めるマイホームローンは1つだけというのが一般的なので、マイホームを買い換えるには、ローンを全額返済してからではないと次のローンを組めないというのが常識です。

マイホーム購入後に「しまった!」と思うヒヤリ・ハット事例として多いのがご近所さんトラブルです。一生付き合っていくご近所さんだからこそ、ストレス内関係を気付きたいものです。ただ、自分が購入しようとしている土地の隣の物件をただ、眺めているだけではそこに住む住人の人となりを理解するのは難しいでしょう。

私がマイホームを購入した時にも「お隣さんや、お向かいさんはどんな人なんだろう?どんな家族なんだろう?」と気になりました。そこで、妻に頼んで以下の点をチェックしてもらいました。

・ゴミ捨て場の様子

・駐車場や駐車されている車の様子

・庭や玄関周りはスッキリ片付けられているか

私見ですが、みんなで使うゴミ捨て場が汚かったり、ルールが守られていない場合は、に改造車が駐まっていないか、複数の車が入れ替わり立ち替わり駐車されていないか、駐車場以外の場所に路駐されていないか、などをチェックしてもらいました。

分譲マンションの場合は、あまり低価格な物件にするのも考え物です。夜の呼び出しや当職業務も多い勤務医にとって、家族に安全、安心で住んでもらうためには最低限のセキュリティとQOLは確保したいものです。そういった意味では、客層といいますか、住人の社会的環境や、経済状況が自分の家族に近い物件を選ぶことも重要になります。私は分譲マンション購入時は、かなりしつこくこの点を営業ウーマンに確認しました。賃貸であれば、周りの住人や物件に不満があれば、引っ越せば良いだけです。簡単にリセットできるので神経質になる必要はありません。

家賃を10万円払うくらいなら、月額10万円の住宅ローンを組んで購入した方がお得、という話を先ほどしましたが、分譲マンションの場合は必ずしもそうとは言えません。分譲マンションには3点セット(管理費、修繕積み立て費、駐車場代)がもれなく付いてきます。特に修繕積み立て費は注意が必要です。一般的には経年ごとに増加していきます。また、やばいマンションでは管理費が意図的につり上げられることもあるようです(下の漫画参照)。賃貸マンションでは、もちろんこの3点セットの支払いはありません。大家さんが払っているからです。

戸建ても分譲マンションも新築当時は良いかもしれませんが、10年も経てば戸建てであれば外壁塗装が必要になったり、分譲マンションであれば共用部分の設備(インターホンや、宅配ボックスなど)が時代遅れになったりと、経年劣化は否めません。一方で賃貸であれば同じ10万円の家賃で5年ごとに新築物件に住み替え続けることも可能です。以前は住んでいたマンションを引き払う時に敷金が戻らない上に原状回復費を請求されたり、新居に引っ越す際の敷金、礼金などの所謂、初期費用がかかったりすることが多かったですが、近年は法的に貸借人の立場がかなり強くなっていますので、原状回復費は基本的にかからないことが多いです。初期費用もゼロ円の不動産会社が増えています。物件によってはフリーレントと言って1ヶ月分の家賃が無料になることも少なくありません(主に単身用ワンルームに多いですが)。大家の立場としては空室にするよりは何としてでも入居して欲しいので、色々と交渉してみるのも面白いと思います。私はかつて家賃20万のマンションを交渉して17万円にしてもらった経験があります。

家賃17万円と聞くと「もったいない~」という声が聞こえてきそうですが、我々は勤務医です。ほとんどの病院に、伝家の宝刀「家賃補助」のシステムがあるのではないでしょうか。これを使わない手はありません。半額補助の病院もあれば、10万円まで補助など勤務先の病院によって様々です。一方、住宅ローンを補助してくれる病院はまずないのではないでしょうか。読者の皆様は下記のどちらを選択されますか?

1. 住宅ローン10万円、管理費、修繕積み立て費、駐車場代併せて3万円の3,680万円の分譲マンションに住む=キャッシュアウト13万円/月

2. 3,680万円の土地付きの建て売り戸建て(金額的に狭小)に住宅ローン10万円で住む=キャッシュアウト10万円/月

3. 家賃16万円の高級新築賃貸マンションに病院の家賃補助8万円で住む(敷金・礼金も病院持ち)=キャッシュアウト8万円/月

おっと、忘れていました。1,2の場合は毎年プラスして固定資産税がかかりますので月割りにすると1-2万円は増額になりますね!

マイホームの資産価値

「毎月のキャッシュアウトは増えようが、やはり最後は自分の資産になるマイホームが欲しい!」という先生、最後にマイホームの資産価値について考えてみましょう。区分マンションをマイホームとして購入する場合は、土地の持ち分はないので、マンションの資産価値は、ほぼイコール部屋の価値ということになります。一方、戸建てのマイホームを購入する際には、土地も合わせて取得する場合が多いと思いますので、マイホームの資産価値を、建物(住宅)と土地とに分けて考えてみましょう。

どんなに高級な住宅を建てようが建物は経年劣化します。これは見た目や機能面ばかりでなく、資産価値としても毎年下がり続けます。住宅に限らず、あらゆる建物と建物の附属設備には会計上の寿命があります。これを耐用年数と言います。耐用年数は建物の使途(住宅か店舗かなど)と構造によって決められています。ただし、耐用年数を過ぎたら、その建物が壊れてしまったり、住めなくなってしまうというわけではありませんのでご安心下さい。あくまでも会計上、税制上の決まり事です。ただ、耐用年数は不動産投資をする際の減価償却を理解する上でとても重要なのでしっかりと理解しておく必要があります。住宅の構造毎の耐用年数を下の表に示します(詳しくは国税庁のHPをご参照下さい)。

構造 耐用年数
木造 22年
軽量鉄骨 骨格材 3mm以下 19年
軽量鉄骨 骨格材 3mm超 4mm以下 27年
重量鉄骨 骨格材 4mm超 34年
鉄骨鉄筋コンクリート 47年

減価償却とは住宅やマンションなどの不動産の購入費を一定期間(減価償却期間)経費として計上できる、というあくまでも会計上の仕組みです。木造住宅は22年経ったら倒壊してしまうとか、建て替えなければ住めなくなってしまうわけではありません。御自身が住まわれたり、誰かに賃貸する上で耐用年数が問題になることはありませんが、銀行から融資を受ける場合などの担保耐価値としてはゼロということになってしまうことが多いです。言い換えれば資産価値はゼロということになります。35年ローンを払い終わったときに残るのは資産価値のない築古住宅と土地のみ、ということになります。

分譲マンションの場合は土地代に資産価値はありません。では土地神話は今でも健在でしょうか?気になる先生はご自分のマイホームの土地価格を調べてみましょう。土地の価値は路線価×土地面積(平方メートル)で簡単に算出できます。路線価はこちらのWebページで調べることが出来ますので是非調べてみて下さい。私自身調べたときの印象としては「こんなもんか・・・(残念)」という感じでした。もちろん路線価は変化しますが、バブルの時のように上昇することはほとんどない印象です。

勤務医として買うべきか、買わざるべきか?

これもあくまで個人的な見解ですが、せっかく勤務医なのですから、まずは家賃補助のシステムをめいっぱい使ってみてはどうでしょうか?とかく引っ越しの多い勤務医人生です。まずは家賃補助を利用して、その町に住んでみることです。そもそも、現勤務先の病院に生涯お世話になるとも限りませんし、その町の特性や、長所、短所などを見極めてからでも決して遅くはありません。マイホームを買ったとたんに転勤!なんてことも勤務医人生には珍しいくはないはずです。その場合の秘策についてはまた別の記事で紹介したいと思います。

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